こんにちは!
中小企業診断士で下町のコトラー、船越です。
今回は補助金の話です。
特に「事業再構築補助金」の話になるのですが、メリットやデメリット、その他で私が感じていることをお話したいと思います!
補助金にも色々と種類があるんですね。
- 小規模事業者持続化補助金
- ものづくり補助金
- IT補助金
- 事業再構築補助金 等
上記が 代表的なものになりますが、これ以外にもめちゃ多くあるんです。
金額もピンからキリまであり、補助額が50万円もあれば、3000万円と大きい額まで。。
特に小規模事業者にはかなり助かりますよね!
補助金とは、国の政策目標に沿った事業を行う事業者に対して交付されるお金です。
つまり、税金です。
なので、有効活用すべきなのですが、私も色々と補助金申請支援をやって分かったこと(特に事業再構築補助金)があります。
それは、、
補助金が出ない場合、やらない事業であれば申請はやめたほうがいい!
ということです。
なぜなら、補助金は初期費用だけであり、あくまで補助なのです。
なので、初期費用以外の固定費やランニングコストは補助されないため、うまくいかない場合、本業にまで多大な影響が出ることになります!
また、補助金が出るからといって、知識も経験もなければ強みも活きない事業をやってみたり、あまり熱意もないことであれば、うまくいく可能性が低いです。
つまり、補助金が出ようが出まいが絶対にやる!絶対に成功させる!といった熱意と覚悟が必要なんですよ!
「覚悟」といった大げさとも思えることをなぜ私が言うのかですが、今までの補助金支援(特に事業再構築補助金)で多くの例を見てきたからです。
- 補助金の申請書を作成中、辞退する
- せっかく補助金申請が通ったのに実行しない
- 補助金であまり熱意のない新事業を行ったため失敗
このような感じですね。
なぜ申請書作成中に辞退するかと言いますと、はっきり言って面倒くさいからです。
申請書を作成するためには仕事中にヒアリングしたり、様々な資料を取り揃えてもらわなければなりません。
なので、途中で嫌になるんですよね。。
また、せっかく申請書が採択されたのになぜ実行しないのかですが、こちらも熱意がないために面倒くさくなった場合と、作成中に事業の方向性が変わってしまったことも理由の1つです。
補助金は申請すれば必ず貰えるものではなく、ライバルたちと争って勝ち取らねばなりません。
特に金額が大きい補助金だと競争相手が多いうえ、しかも成功報酬額が高いので、 補助金申請のプロみたいな人たちがいっぱい集まってくるんですね。
なので、できるだけ通りやすい事業計画書に無理やり変更することがあり得るんです!
例えば、若者向けの飲食店を開業しようとしていたけれど、高齢者をターゲットにした申請書の方が通りやすい場合、無理に変更するんですね。
となれば、かまえる店の立地やメニュー、導入する設備等も微妙に変わってきます。
結果いざ、申請が無事に通り補助金が貰えたとしても、本来やりたかったことではないため、行動に移さなかったり、申請内容と全く違う内容でやり直すことになります。
この場合、お金を返還しないといけない可能性があるので、注意が必要です!
ただ、やりたかったことではない事業を行う場合、熱意がないために結局失敗することもありえますし、お金が貰えるからといって安易な考えで新事業を行うと痛い目に遭います。
社長なら分かっておられると思いますが、事業って簡単ではないですもんね。。
会社の資金が有り余るほどあれば痛手はないかもしれませんが、失敗すれば会社が傾くことや、下手をすれば倒産する可能性もあります。
なので、補助金がなくても実行する覚悟や計画性、熱意がなければ「補助金申請」はおすすめしません!
実際に私はお手伝いをさせていただく場合、上記のことを確認しています。
でなければ、会社のためになりませんし、申請書も説得力が欠けますから。。
設備導入、新事業や会社の立て直しをしようとしている時に、「たまたま補助金のことを知って、是非活用したい!」ぐらいがちょうど良いかなと思っています。
このように、補助金のメリットは当然、費用の一部を補填してもらえることでありますが、本当のメリットはそれ以外にもあります。
何かといいますと、専門家が一緒に事業計画を作成することで、第三者目線で会社の強みや弱み、資金繰り等を把握できることに加え、時間をかけて会社を冷静に見直すことができることなんです!
社長であれば毎日が忙しく、冷静に会社を見直す時間はあまり取れませんよね。。
なので、私は補助金申請の事業計画を作成するときに、社長自身にも会社を冷静に見つめ直してもらっています。
意外なことや自分では気づかなかったことを知ったりできるので、「やって良かった」と言われる社長が多いですよ。
デメリットは、前述したとおり「やりたくないこと」や「やらないほうがよい」事業に手を出してしまうことです。
補助金が出るからといって、本来必要のないことにお金や人材等の経営資源を投入してしまえば、本業にも支障が出ます。
補助金のせいで本業が悪化するのであれば、なんのための補助金でしょうか。。
そして、補助金を活用するのであれば、今の本業の知識や経験、強みが活かせる事業をするべきなのですが、それらを文章に落とし込む必要があるんですね。
補助金申請は自分自身でも行うことができますが、ライバルはプロの場合が多く勝つのは大変です。
そのうえ、申請方法が分からなかったり、事業計画や数値計画の立て方も難しいです。
また、 第三者目線で会社を見ることも必要ですね。
なので、「補助金申請」をしたいのであれば、補助金申請に慣れている専門家と一緒に行うことをおススメします!
ただ、会社に興味がなく、補助金の成功報酬にだけ興味がある専門家は避けて欲しいんですね。
補助金はあくまで補助であり、本業を考えた計画書を立てる必要があります。
成功報酬にしか興味がない補助金のプロは、会社のことを考えずにバラ色、もしくは採択される用の計画を立てる可能性があるので、注意してください!
次に補助金の進め方を「事業再構築補助金」を例に少しお話します。
補助金の申請書は普通の事業計画と違い簡単と言っても、10~15ページぐらいの「事業計画書」が必要となるのですが、なかなか大変なんですよね。。
下図は「中小企業庁」の採択事例集で紹介している申請書なのですが、こんな感じなのが、10ページほどあると思っていただければと思います。
正直、文章は大変ですが、ガチの事業計画書ではないので数値計画は詳細まで必要なく、本当の事業計画と比較すれば時間はかかりません。
状況によって30~100ページ必要な事業計画書もありますから。。
補助金申請書の作成は下記の順番で行います。
社長にヒアリング ➡ 事業計画作成 ➡ 詳細をLINEで確認 ➡ 計画書修正
まずは申請をしたいと依頼された社長にヒアリングですね。
話を聞かなければ始まりませんから。。
- 補助金の概要
- 少しの雑談と社長の経歴
- 既存事業の詳細(ビジネスモデル、強み弱み等)
- 新事業の内容詳細
- 事前にいただいた決算書の内容確認と質問等
まずは補助金の内容をお話します。
補助金の経験者でない限り、事業再構築補助金どころか、補助金自体が何かを知らないですし、結構助成金と間違っていますから。。
でも、これは仕方がないです。
私だって補助金にかかわる前、補助金の存在すら知らなかったですし。。
一通り説明が終わったところで、もしくは説明の前に社長と雑談をします。
やはり、私はコンサルタントと言っても別に偉い人間ではありませんし、同じ経営者の気持ちでざっくばらんに話します。
まあ、コンサルタントって、かなり胡散臭い人も多いので、警戒されますからね。。
そして少し緊張と言いますか、警戒が取れたところで社長の経歴を聞きます。
雑談中に聞くこともありますが、社長のこれまでの歴史です。
この社長歴史の中で社長の特徴等を把握していくんですね!
その流れで既存事業の話を聞き、ビジネスモデル、強みや弱み、会社の詳細を把握していきます。
次はいよいよ、今回の「事業再構築補助金」を申請する新事業の詳細確認ですね!
そして、新事業の話を一通り聞き終わった後に、事前にいただいていた決算書や財務等の話をします。
正直、補助金の申請においては決算内容の詳細は必要ありません。
審査員の全員が決算書の詳細を理解しているわけでもありませんし、補助金の審査員は私と同じく「中小企業診断士」であり、数字に強くない人も実際にいます。
なので、数字に弱い人にも分かりやすい事業計画を作成することが大事なんです。
そして、根拠を細かくしっかり書くということが大切ですね。
数字だけ見せても、「本当にできるのかよ?」ってなるので、計画の売上が本当に可能なのかを示す必要があります。
話は戻りますが、必要がないのに、なぜ社長に決算書の内容詳細を聞くかと言いますと、私は補助金の申請とは関係なく細かい数値計画を作成することと資金繰りを見ることにしているからです。
補助金申請はあくまで、補助だと前述しましたが、重要なのは会社全体の事業計画だと思っています。
補助金だけの申請にはしたくないんですよ。。
なので、補助金申請用の計画とは別に、会社の財務状況を把握して助言するようにしているんですね!
そして、下記のような5年分のキャッシュフロー計算書(資金繰り表)も作成し、補助金事業を行うためにはいくら必要なのか、売上はいくら必要なのか、経費をどうすればいいのかまで助言するようにしています。
もし、計画作成時で内容も資金的にも難しいのであれば、やめておいた方がいいって正直に言うようにしています。
そしてヒアリングが終われば、事業計画書を作成することになりますが、「補助金申請書」は、独りよがりの計画ではダメなんですね。
「公募要領」に書いてある審査項目と加点項目に沿って漏れなく記載して作成する必要があるんです。
新事業を行うにあたって、
- どのような強みを活かすことができるか
- ニーズやターゲット顧客層
- 課題は何か
- 課題をどう解決するか 等
上記のようなことを記載しなさいと書いてあるので、必ず答えなければなりませんし、順番に答えを記載していく感じになります。
なので、適当に作成しても通りません!
失敗しないためには分厚い「公募要領」をよく読む必要があり、慣れていないと見落としてしまうんですよね。。
私も公募要領を読むのが嫌になることがあります。笑
そして、私が事業計画書で大事にしていることは2つ。
何だと思いますか!?
「根拠」と「実現可能性」です!
確かに補助金の申請書は数値計画も含めて、「良い計画書」に見せる必要があります。
でも、根拠もなければ実現可能性も低いのであれば、そもそも、やってはいけない事業だと思うんです。
私は補助金事業がうまくいく根拠を示し、実現可能性のある数値計画を作成するようにしています。
なので、私はかなり低い売上計画にするんです。
目標の半分ぐらいの売上ですね。
これは、以前に経営改善計画を作っていた影響でもあります。
最低ラインの売上目標にして、それでもお金が足りるのか。
足らなければどうすれば良いのか等。。
売上を低く見積もって予想以上に増加するのは問題ありませんが、逆であれば会社が倒産しかねません。
なので、根拠と実現可能性を大事にしているのであり、これらがないのであれば、もう諦めてやめてもらうようにしています。
その方が会社にとっても良いことですから。。
次に、根拠と実現可能性を高めるために社長に細かく聞いていきます。
数値計画はお客さん数、単価等を把握して作成するのですが、下記が例になります。
- 計画1年目の当該事業売上は低く見積もり目標額の70%の売上で計算し、5年計画で徐々に増加していく
- 計画2年目は目標売上数値で計算し、3年目以降、○○と○○は○○向上効果で来店客の増加ではなく単価が毎年10%の増加計画
- 席数〇席 客単価:2000円 来客数:平日10人・休日(土日祝)20人
- 平日売上:10人×@2000×17日=340,000円 休日売上:20人×@2000×8日=320,000円
- バーカウンターは半分の客数で計算し、○○で飲食も可能
- 定休日は5日、バーの1ヶ月売上は640,000円であり、12ヶ月で7,680,000円
- ○○売上は○○を含め1ヶ月で300,000円、12ヶ月で3,600,000円
- ○○売上は1ヶ月400,000円、12ヶ月4,800,000円を予定し、単価UPで毎年10%の売上増を実現
- ○○の単価は1本3200円で、1ヶ月に30本を販売予定。1ヶ月売上は96,000円、12ヶ月で1,152,000円となり、計画2年目以降は○○を加え、毎年10%の売上増を実現
- 計画1年目の令和5年11月期までは純資産がマイナスとなっているが、令和6年11月期でプラスに転じることに加え、前述のキャッシュフロー計算書通り、財務状況に問題はないこと
上記のように、借入金返済分や減価償却費も含めたPLとBSもしっかりと作成します。
で、後は申請手続きをすれば完了です!
ここまでしっかりした数値計画を立てる補助金事業計画はあまりないと思います。
ただ、私は補助金だけの事業計画だけでは意味があまりないと思いますし、会社全体の事業計画をしっかり作成することの方が大事だと考えているんですね。
なので、せっかくの機会なので、補助金申請時にしっかりとした事業計画も作成した方がいいと思います。
私は補助金申請とは別に「未来型ビジネスモデル」も作成しております。
やりたいこと、なりたい自分を実現するためのビジネスモデルです。
なので、補助金でやりたいことを実現するのであれば、ちょうどいいかもしれませんね!
詳細は下記記事でご確認ください。
➡下町のコトラーが提唱する「未来型ビジネスモデル3.0」とは
今回は以上となりますが、少しでも参考になれば嬉しいです!
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