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経済産業大臣登録 中小企業診断士
船越ビジネスコンサルティング代表
船越です。
ビジネスにおいて、プロセスの見直し、改善は必要であり、当然、各企業も必死になって行っています。
あなたの会社も、日々、何らかの改善が行われているのではないでしょうか?
例えば、製造現場においては、ラインの見直し、歩留まり率、不良率の改善。営業現場では、商談の仕方、会議体の見直し、事務系であれば、システムの見直し等。。
ビジネスプロセスの改善を挙げればキリがありません。
確かに、ビジネスプロセスの改善は必要なことですが、それ以前に大切なことを見失っていないでしょうか?
何が言いたいのかと言いますと、
「あなたが行っている、‟ビジネスそのもの” に問題はありませんか?」
ということです。
案外、この部分を見逃しがちなんですね。
何も私は、上から目線で語っているわけではありません。
実際、中小企業診断士として、様々な会社を見てきておりますが、小手先の部分の改善ばかり行っている会社が非常に多いということです。
つまり、会社の戦略である、方向性、ターゲットやビジネスモデル自体は改善する意識がない、という事実があります。
しかし、それでいいのでしょうか?
例えば、会社は高付加価値(高価)商品を販売しているのに、必死になって安いものを求めている消費者に販促を行っている。
または、激戦区である、競合が強いマーケットにてラーメン屋で勝負を挑んでいる等。
間違っているビジネスモデル、勝てるわけがないマーケティング戦略を行っていれば、小手先の改善策では、そもそも改善はできないですよね。
はっきり言って、やる意味ないです。
まずは、その上流にある、ビジネスモデル、マーケティングの見直しが必要になります。
今回は、ビジネスプロセス改善以前に必要な、ビジネスモデルやマーケティングについて解説していきます。
ビジネスモデルは通用してますか?
変化が激しい昨今、「良いモノやサービスを提供すれば売れる」「安ければ売れる」という時代ではなくなりました。
大企業でも悪戦苦闘する中、中小企業が生き残っていくには、継続的に儲かる仕組みをつくるビジネスモデルが不可欠になっています。
しかし、「従来のビジネスモデルが通用しなくなってきている」のは事実です。
例としては、人材不足で運賃が上昇し、自らは配達をやめた運送会社。
また、人口減少で売上も減少し、店頭販売からネット販売に切り替えたアパレル会社、等。
良いものを作れば売れる時代はとっくの昔に終わっています。
なので、昔のビジネスモデルでは通用しないのは当然のことなんです。
つまり、昔のビジネスモデルのままでは厳しく、
‟ビジネスモデル自体を進化させる必要がある”
ということです。
ということで次からは、
- ビジネスモデルとは何か
- ビジネスアイデア発想方法
- ビジネスモデル構築方法
以上を解説していきたいと思います。
そもそも、ビジネスモデルとは何?
では、そもそも「ビジネスモデル」とは何でしょうか?
起業やビジネスというのは、顧客の悩みに答えたり、顧客の問題をお客さんに代わって解決する対価として、お金を頂くことです。
そのようにして、顧客が困っていることを代わりに解決してあげようと考えた場合、自分1人で解決できたら一番シンプルですよね。
ところが、自分1人の能力や資源には限界があるため、その解決を行うためには、誰かの力を借りることが必要になってきます。
また、仮に1人で全てができたとしても、その自分がいなくなってしまったとしたら、安定して継続的に商品・サービスを提供していくことはできません。
そのようなことを考慮し、誰かの力を借りるために、力を提供してくれる人との人間関係(法人関係)を構築する必要があり、その結果として生まれたものが「ビジネスモデル」であるわけです。
つまり、
「ビジネスモデルとは、価値を安定的に継続的に提供していくための法人関係・人間関係である」
と言えます。
では次にビジネスアイデア発想法について解説していきます。
ビジネスのアイデアはどう発想するのか?
私達は、普段様々な情報にふれています。
ところが、人間の身体は良く出来ていて、自分に関係ない情報は無視するようになっており、そのため、本当はお宝のような情報が目の前にあったとしても気が付かないことも良くあるのです。
『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』という本にはこのようなことが書いてあります。
”人は何万回見ても、見えないものは見えない。(中略)「見える力」がなければ、発見しようにも、そもそも、ものは目に入りません。”
また、このようなことも書いてありました。
”セブン-イレブンのロゴが「7-ELEVEn」と、最後がnで、小文字なのをご存知でしたか?”
私は、この本を初めて読んだ時まで気付きませんでした。(有名な話なので、ご存じの方もいるかと思いますが。)
著者の小宮さんも知人からこの話を聞くまでは、知らなかったそうです。
ところが、その話を聞いてから、セブン-イレブンの看板を見るようになり、さらには、ローソンの看板も目に飛び込んでくるようになったとのことでした。
ちなみに、ローソンの看板を思い出して描くことはできますか?
私は出来ません。ネットで確認したのですが、牛乳のイラストがあったのですね。
このように私達は、普段目にしているはずのモノでも何も見えてないことがよくあります。
では、どうすれば見えるようになるのでしょうか?
一番簡単なことは、「関心」をもつことです。
看板に関心を持てば、他の人よりも注意深く看板を目にするようになります。広告に関心を持てば、電車移動の際にスマホではなく、吊り革広告に目がいくようになります。
他の人よりも感度の高いテーマを作ることで、様々な発見をすることが可能になるのです。
なので、まずは感度の高いテーマを作ることから始めましょう。
例えば、私であれば
- 経営計画立案
- 仕組み化
- 起業・新事業
- マーケティング
- 財務
- 金融支援
- 思考力
- アイデア構築
- ネットビジネス
- コンテンツ構築
- ビジネス構築力
こういったものに関心があります。
実際にスキルがあるかどうかは別として、まずは「関心」があるテーマを作りましょう。
可能であれば、関心のあるテーマを複数持つことです。そうすれば、色々な角度で物事を見ることが可能になります。
結果、ビジネスアイデアのヒントを得ることができるのです。
ビジネスモデルの構築方法とは?
アメリカの実業家ジェームズ・W・ヤングは、”アイデア” とは「既存の要素との新しい組み合わせ」と言っています。
つまり、現状の方法(既存の要素)に対し、改善のために新しいものとを組み合わせるということです。
それに対して、思いつきや心に起こった考えをまとまった形にすることは、アイデアではなく、発想だと解釈されています。
なので、アイデアは発想みたいに、パッと思いついたことではなく、考え抜かれたもの。ただ、発想が悪いというわけではなく、状況によって使い分けることが大切でしょう。
そして、ビジネスをしていくのに大切な要素は、
「ビジネスアイデアを体系化するために、ビジネスモデルにする必要がある」
ということなんですね。
ビジネスアイデアとは、「新しい商品やサービス・事業のもとになる着想」のことであり、たとえば
- アパレルシューズを仕入れて、販売していく
- 経営の資格を取得し、コンサルティングをしていくこと
上記がビジネスアイデアとなります。
では、ビジネスモデルとは何かと言うと、モデルとは「型、模型、手本、模範、」のことです。
つまり、ビジネスモデルとは簡単に言えば、ビジネスの型であり、模型であり、手本であるもの。
何かを仕入れて、何かを販売したときに、最終的に個人が生活(企業が存続)していくことをビジネスというのであれば、それらができる仕組み全体のことをビジネスモデルと言います。
ビジネスモデルの定義は最初にお伝えしましたが、上記ではビジネスモデルを簡単に説明してみました。
でも、ビジネスモデルを自ら考えるとなると余計になかなか出てこないですよね?
特に、
- 新ビジネス
- 新規事業
- 起業
- 副業
- コンサルティング
上記場面では新しいことを始めるのですが、ビジネスモデルが悪ければ致命的であり、逆に良ければ、多少慣れていなくてもうまくいきます。
例えば、iPhoneとガラケー。
もちろん、どっちもターゲットによっては良い商品と思いますが、結果はご存じのように、今はiPhoneが圧勝していますよね。
これは商品の違いというより、ビジネスモデルの違いでの差であり、ビジネスで稼ぐ仕組みの違いにあります。
つまり、勝敗はビジネスモデルで全てが決まると言っても過言ではありません。
経営で失敗しないためにはどうする?
では経営で失敗しないためにはどうすればいいのか?
- やりたいことで経営をしない
- 勝てるマーケットで勝負する
- 強みを持つ
- 差別化されたビジネスモデルが必要
上記が必要となりますが、こちらはマーケティングの考えになります。1つずつ解説していきますね。
◆やりたいことではなく、勝てるマーケットで勝負する
経営で絶対に失敗しないために最も重要なことは、「勝てるマーケット」をみつけること。
つまり、たとえ好きなことであっても、負けるマーケットで勝負してはいけないということです。
なぜなら、すぐにうまくいく人との違いは必ずしも、生まれ持った才能、または能力の違いではないからなんですね。
能力のある人が長い間頑張っても失敗する、逆に軽い気持ちで週末に立ち上げた事業が半年で成功する。こういった話は結構多いというのもあるからです。
実際は自分が好きなことでうまくいった人もいますが、そういう方は少なく、また時間がかかってしまうことが多いのです。
では、その違いは何か?
それは「勝てるマーケットで経営をしたかどうか」と言えます。
もう一つ重要な条件がありますが、それが組み合わさることによって、長く続く事業へとつながっていきます。
では、次に勝てるマーケットとは何かを解説しますね。
◆勝てるマーケットとは何か?
では、「勝てるマーケット」とは何でしょうか?
それは、「顧客が欲しいと言っているのに、欲しいものが提供されていないマーケット」です。
つまり、顧客ニーズがあるのに競争が少ないマーケットのことです。
これは当たり前の話ですが、実際は周りを見ても分かるように、競争を無視して、自分が得意な分野、好きなマーケットということだけで勝負している人が多くないでしょうか。
例えば、英会話、喫茶店、ラーメン屋等。。
この中で飲食店は特にゼロから開業する場合、大規模な投資に加え、粗利率が低いため、よほどのノウハウを持った人でない限り、勝ち続けるのが困難です。
このマーケットで勝てる自信がありますか?
正直難しいと思います。ましてや、未経験者なら尚更です。
でも、好きという理由だけで、この「レッドオーシャン」に自ら飛び込んでしまう人が絶えません。
しかし、好きなことより、そのマーケットでより確率高く勝ち続けていくためには、どんな方法、どんなアイデアで起業すれば失敗しないかを考えることが重要です。
では次に、マーケット以外に大切なもう一つの要素を解説します。
◆重要な要素である、強みとは
先ほどはマーケットの話をしました。
その場面では、やりたいことで戦わないことが重要なのかを説明しましたが、やはり、好きなこと、やりたいことで勝負するのが理想ではあります。
しかし、経験もなく強みもなく、例えば
「未経験だが、ラーメン屋をやりたい。情熱もあるし、死ぬ気でやる!」
と知人が言った場合どう助言するでしょうか?
しかも周りは有名店ばかり。正直、私は「やめた方がいい」と言いますし、普通のやり方では間違いなく失敗します。
ただ、勝てるマーケットを見つけても、自分の「強み」を活かせなければ意味がありません。
しかし、ほとんどのビジネスはこの過程で多くの壁にぶつかります。
でも、それを乗り越えることができる人は、その勝てるマーケットで本当に勝つことができます。
なので、乗り越えられることができない人は結局、勝てるマーケットを選択しているにもかかわらず敗北することになると言うことです。
その敗北の理由は、勝てるマーケットの中で、本当に勝つための「強み」を保有していないからなんですね。
◆強みがない場合はどうなる?
では、勝てるマーケットを選んでいるのに、この「強み」がない場合にはどうなるでしょう?
商品の場合、商品が不十分なまま販売をすることになります。
ただ、売り方が上手であれば、そのような商品でもどんどん売りまくっていくことになります。
しかし、そのような事業が長く続くはずがありません。
たくみなプロモーションでマーケットを刺激しても、強みを活かした商品やサービスが提供できなければ、長期的には悲惨な結果に陥ることが多いものです。
そして事業が長く続かないため、新しい商品に手を出したとしても、そこに「強み」が活かされていない場合には同じ結果になりがちです。
ここまでの話は主にマーケティングのこととなりますが、下記の記事を併せて読んでいただくと理解が深まります。
差別化されたビジネスモデルとは
そこで、‟絶対に失敗しない経営” を成し遂げるために必要になってくるのが、
「差別化された、あなたにしかできないビジネスモデル」
を創り上げることなのです。
差別化についての本もたくさん出ていますが、どの方法を使っても、結局、ありきたりのアイデアであったり、競合が見たらすぐに真似されてしまうようなアイデアしか生まれない、と感じてる方も多いのではないでしょうか?
こういった本は既に思い付いていたアイデアを整理する上では役に立っても、新しいアイデアを生み出すためには使えないと思う差別化の手法ばかりである、のが実情です。
また、運良く斬新なアイデアが生まれても、それは偶然の産物にすぎず、再現性がありません。
では、どうすればいいのでしょうか?
お金の不安を取りのぞく
経営をしていると、お金の不安と悩みは尽きませんよね。
実はこの悩みが一番大きい経営者が多いです。
確かに中小企業は大企業と違い、贅沢な資金がある会社は多くありません。
なぜ、お金に関して不安と悩みが多いのでしょうか。
実は、‟会社の数値、お金の流れを把握していない” ことが理由の大半なのです。
「売上が上がっているのになぜ現金が少ないのだろうか?」
「売上が良くないし、支払いはできるのだろうか?」
私のコンサルの経験上、こういった悩みが多いですね。
売上が上がっているということは、売掛金が増えて買掛金も増加している。
普通、売掛金の回収は仕入れの支払いのあとなので、当然現金は足りなくなります。
売上が急激に増えたときにこの運転資金の問題は大きくなるんですね。
こういったことは財務知識や会社の数値を把握していなければ、理解できません。
なので、不安は倍増するでしょう。
なぜ?なのかが分からないからです。
また、支払いができるかが不安なのは、会社の資金の流れを把握していないから。
あらかじめ分かっていれば、銀行に前もって、短期の手形貸付で対応してもらえるはずです。
もし、売上が悪いままで、銀行から借りれるかどうか分からない、といった不安があるのであれば、事前に説明して事業計画等を提出すれば、理解してくれる銀行は多いです。
一番だめなのは、会社の数値や現金の流れを理解してないまま、お金が足りないと分かって慌てて銀行にお願いすること。これが最悪です。
担当の銀行マンは上に稟議を回す必要があり、当然お金を貸す根拠が必要なります。
また時間もかかりますし、もし銀行の支援を受けている会社であれば、本部決済が必要になるかもしれません。
本部決済となるとさらに時間がかかりますので、もし最悪、融資が間に合わなければ倒産する可能性があります。
極端な例かもしれませんが、最悪な事態にならないためにも、いざとなったときに
「どれくらい資金調達が可能なのか?」
を知っておくことは安心材料となるでしょう。
最後に
いかがでしたでしょうか?
経営で失敗しないためには、
- やりたいことで経営をしない
- 勝てるマーケットで勝負する
- 強みを持つ
- お金の不安を取り除く
上記のことが必要だともお伝えしました。
経営で失敗するリスクを抑えるためには、ビジネスモデルの構築、見直しやマーケティングの考えを取り入れることが良い、とも言いましたよね。
ビジネスプロセス改善も大切なことではありますが、まずは上記のことの見直しをしてはいかがでしょうか?
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